凹レンズログ

くりかえす生活の雑感。まとまらぬままに。

ブログの教科書「レポートの組み立て方」木下是雄

「理科系の作文技術」で有名な木下是雄。大学生がレポートを作成する上での教科書として書かかれた「レポートの組み立て方」。この本はブログを書くことにおいても明快な指針を与えてくれるのでまとめてみます。

レポートの組み立て方 (ちくま学芸文庫)

以前からズーーーっとまとめてみたいと思っていました。それほどの良書です。けれどなぜそれをしなかったか?それは、250ページ780円の文庫本の中に、莫大な量の重要トピックスが盛り込まれているからです。内容からすれば相当に重厚な本なのです。

この本は、文章の書き方のみを扱っているわけではなく、疑問の持ち方、資料の当たり方・読み方(ネットがない時代のものですが)、その評価の仕方、表現の仕方など、「ものごと調べ(もしくは試して)、そこから導かれることを考え、それを明確に主張する」という一連のプロセスの道筋を教えているのです。

理科系の作文技術が科学者の卵むけに原著論文を作成することをテーマに書かれているのに対して、レポートの組み立て方は大学生・社会人に向けて事実を集約して自身の意見を論じる方法を教えることを目的に書かれています。そのため分かりやすい表現で、簡潔に記述してあり、非常に読みやすいです。私もブログを書くときに、度々この本を参考にすることがあります。

レポートの目的

まずは、大学生の課題として出されるレポートを例に、報告書などを作成する目的が示されます。

研究・調査・伝達・教育などによって得られる、または伝えられる知識 を情報(information)という。このことばを使えば、レポートの使命は、レポート作成者の持つ(あるいは、新たに得た)情報とそれに関する作成者の意見とを読み手に伝達することだといえる。

レポートの主眼は、調査した事実や人々の意見を、自分の目的にしたがって配列・連結して「資料に語らせる」ことにある。その部分(本論)に自分の主観を混入させてはいけない。

問題に関連のある事実の正確な認識に基づいて、正しい論理にしたがって導きだされた意見は、根拠のある意見、妥当な意見――sound opinion――である。出発点の事実認識に誤りがある場合、または事実の認識は正確でも論理に誤りがある場合には、根拠薄弱な意見――unsound opinion――になる。レポートで意見を述べる場合には、その意見は上記の意味で<根拠のある>ものでなければならない。

調査の仕方

次に調査の方法について書かれています。本書の中では、一応の仮説や主題(主張したいこと)をもって調査を始めることを推奨しています。

「結論を想定して資料調査を進める」のは、書き手の想定した結論に対して有利な資料だけを採用することを意味するのではない。調査には予測が必要だが、調査の結果には無心に対応しなければならない。これは、実験的研究の場合に、作業仮説に反する実験結果が出てくれば素直に仮説を撤回して新しい作業仮説を立てなければならないのと同じことである。

調査資料へのあたり方としては、百科事典(現在では、Wikipediaかな)、官公庁の出す白書(報告書)、年鑑・年表、新聞の縮刷版日本十進分類法や図書館の利用の仕方など、時代背景が異なりますが幅広く詳細に記述されています。
白書:文部科学省
統計局ホームページ/日本統計年鑑(自動的にジャンプします)
データベース:YOMIURI ONLINE(読売新聞)
国立国会図書館―National Diet Library

レポートの書き方

書籍を元にレポートを書くことについては、以下のように述べられています。

1冊の本だけに頼ってレポートを作ると、その本の著者の意見(すなわち他人の意見)に支配されやすい。…文献からの引用を主材料とするレポートは、一つの参考文献だけではなく、いろいろの立場で書かれた文献をひろく渉猟・吟味した上で書かなければならないのである。私は、大学生に研究レポートを書かせるときにはいつも、内容の2/3以上が自分の調査に基づく事実の記述であることを条件とする。

そして、何度も何度も強調されるのは、「明快な文章」「明確な表現」をするということです。

明快な文章というのは 
筋が通って一読すればすぐわかり、二通りの意味にとれるところのない文章
また明確な表現というのは
ぼかしたところがなく、ずばりと断定的な表現
を意味するものとお考えねがいたい。

明快な文章の第1の条件は、文章全体が論理的な順序に従って組み立てられていること、論理の流れが自然で、一つの文と次の文とがどういう関係にあるか即座にわかることである。第2の条件は一つ一つの文が正確に書いてあって、文の中のことばとことばの対応がきちんとしていることだ。

念のために付け加えるが、これはレポートには不確実な情報、推測、想像の類を書いてはいけないという意味ではない。…不確実な情報は、不確実だということをはっきり示したかたちで書くべきである。

著者の文章に対する真摯さ、厳しさというのが読んでいるだけで伝わってきます。そして、ただ単に理想の方向性を述べるだけではなく、具体例も示しながら解説をしてくれるので、するすると頭に入ってきます。

必要な要素はもれなく書かなければならない。必要ギリギリの要素は何々かを洗いだし、それだけを、切りつめた表現で書く。一語一語が欠くべからざる役割を負っていて、一語を削れば必要な情報がそれだけ不足になる――そういうふうに書くのが、レポート文章の理想だ。

うーん、すごく格好イイ・・・。

すらすら読める文・文章

本質的な問題は文を頭から読み下してそのまま理解できるかどうかであって、読みかえさなくてもすらっと文意が通じるように書けてさえいれば、字数にこだわることはないと思う。


まとめ

まだまだ紹介しきれないほど、レポートを書くために必要な知識、指針、具体的な文例やテクニックがこの本にはつまっています。こうして改めてまとめてみても、自分の文章の稚拙さや至らなさ、誤りの多さなどを認識させられて非常に勉強になります。
この4月から大学に入学した人、新社会人、そしてブロガーなど多くの人にぜひとも読んで欲しい一冊です。