凹レンズログ

くりかえす生活の雑感。まとまらぬままに。

話し方レシピを読んでも美味しい会話は作れない

人に好かれる3つの話し方!…というようなタイトルのエントリーは頻繁に注目されますし、似たような記事が幾度となく話題に上がります。それだけ、「正しい話し方」「効率的な話し方」を僕も皆も追い求めているということの証拠なのだと思います。



話し方エントリーって大抵こんなの

よく紹介されるのが以下のような方法です。

聞き上手になる
相手にしゃべらせる
批判・否定しない
相手の話に共感する
褒める
あいづちをうつ

理由や言い方を変えて、こういった方法を何度も何度も再利用して、ハッピーでストレスフリーな会話術の紹介が繰り返されていきます。

相手に必ず好かれる5つの「話の聞き方」 +ホメるコツ - ライフハックブログKo's Style
もう悩まない!人間関係を劇的に改善する、コミュ力アップの凄い技!
会話が続く人の3つの特徴 | コミュニケーション能力UP! 総合ポータルサイト
「ノー」とは言わせない状況にする5つの話し方 | シゴタノ!
http://pbls.jp/2011/04/211/

上述のリンクを見ても分かりますが、大抵こういうエントリーを量産しているホームページやブログは、「誰とでも会話が途切れない7つの方法」やら「相手との関係を深める4つの会話のポイント」みたいなエントリーを莫大な数書いていて、「たった○個って一体いくつのことなんだよ!」ってフルテンションでつっこんでみたくなります。本来、彼らに学ぶべきは「たった○個のというタイトルでアクセスを稼ぐ方法」であろうと思います。

あなたは営業マンやCEO、カウンセラーが本当に「たった〜個」といったそんな紋切り的な話し方だけをしているとピュアに信じていますか?というかそんなカウンセラーがいたとして、相談したいと思いますか?

会話をする当事者として質問をしてみるなら、あなたは、会話をしている相手にそんな話し方をされて嬉しいですか?と聞いてみたいです。そんな褒めごろして思い通り操ってやろうって意図をもって、どこかで見たような同じパターンの使いまわしの会話をされても、僕は楽しくも何もありません。というか、こういうエントリをブクマしてる皆さんだったら、「アー ネットでかいてあるような話し方してるなこの人・・・」って気付いちゃうだろうし、マニュアル的な話し方と気付けばそれだけで冷めちゃうんじゃないでしょうか?
人間つくりはそんなに違わないのであなたがバカじゃないように、他人もそんなにバカじゃないものです。

会話エントリーを読んだら・・・

会話というのは複雑なプロセスです。会話が上手な人は、毎回全く同じことは話さないでしょうし、想定外のことが起こってもそれを解決していく。最初はうまくいかなくても色々な方法を使って相手に歩み寄っていく。そこには、小手先のテクニックを越えた覚悟や腹をくくった姿勢などがあるのかもしれません。紋切り口調だけで乗り越えられるほど、世界は単純には出来てくれていない。

社会の中で上り詰める人達の会話というのは、確かに優れているのかもしれません。しかし、彼らは単に○個の方法を繰り返しているだけではありません。それに、人と人との会話というのは複雑で、どうしようもない相性もある。どんなに成功している企業家だって、うまくいかない会話は必ず経験していて、失敗談だってある。それを、このポイントさえ抑えておけば、いつでも誰とでも2度と失敗することなくズーーーっと誰からも好かれて説得できて思うように操れますよ!って書き方をするところが、目に余るんですよね。

こういうエントリーのポイントは、これを読んだだけでは何も変わらないということ。確かに自分の知らない話し方をしることができれば、それに意味はあります。ただし、読んだからといってその技術を使えるようになるとは限りません。会話の仕方を自分のものにするためには、実践する以外に方法はありません。こういったエントリーを読むことが悪いことではありませんが、それを読んだのであれば勇気をもって使うこと、そしてそのときの相手のリアクションをきちんとみてその会話がその人に合うかどうかを判断していくこと。もちろん1回でそれを判断できるほど人間単純にはできていないので、それだけの失敗を重ねる覚悟をできるかどうかということが大切になってくる。

書店でレシピ本を買って、家に帰ってから熟読する方もいらっしゃると思います。しかし、料理本を買ったときにまずしなければならないのは、喫茶店やベンチにすわり、作りたい料理を1つ決めるということです。なぜなら、家に帰って、料理を決めて、また買い物に出るのは面倒ですよね。さらに、レシピ・材料を覚えることすら面倒な方もいらっしゃるでしょう。

まずは、簡単に1.レシピをみる、2.買い物をする、3.料理を作る、4.達成感と料理を味わう、という料理のサイクルを作ることが大切なのです。
1人暮らしを始める男子への、最高の料理本 - 凹レンズ(旧館)

料理と同じです。レシピを読むだけでは料理は出来ません。自分の手で作るプロセスが必ず必要なのです。


また、その時に、この方法が正解なんだと妄信的・独善的に使うべきではない。こういう話し方もあり、それを使ったことがあるという経験をして、自分の引き出しのひとつに納め、新たなレパートリーに加えればよいだけのことです。うわべで相手を利用するためではなく、自然と行う会話の中で必要なときに、それが口からさらりと表現されるようになって初めて言葉の力が本当の意味で発揮されるのだと思います。

どんなに会話の練習をして方法を知ったところで、会話の中で緊張することはこれからもあるだろうし、完璧な会話がずーっと出来るようになる日など来ない。一人では生きられない僕らの宿命でもあるのだろう。

…だから安心しなさい

…あと何万年生きたって悩まない日はないし

誰が隣にいても孤独じゃなくなる日は来ないから
HER (Feelコミックス)