凹レンズログ

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「接遇の鬼(エチカの鏡)」平林都の凄さとは何か?

エチカの鏡で紹介された伝説のマナー講師 平林都。TVで放送された彼女の指導はカナリの反響があったようで、サンテFXシリーズでCMにも起用されています。ただ、彼女の出している書籍は、Amazonの書評を見ると割りと不評をかっています。なぜこんなギャップ・歪みが生じてるんでしょうか?そのギャップから、彼女の凄さを考察します。


平林への批判

ぶっちゃけ、この本は一般的な接遇に関する内容が書かれているのみです。「まぁ、そうだよね」程度の感想は持つのですが、TVで見る彼女の迫力はあまりつたわってきません。理論的に新しかったり、論理が非常に優れているというわけではないのです。いわゆるスタンダードな種類に入る本です(決して悪書というわけではありません、過剰な期待を抱かなければ接遇について丁寧に説明してある本として読めます)。
また、平林に対する批判の1つに彼女の指導のやり方があります。彼女は、講習の参加者をカナリ叱責します。その様子は以下の動画を見ていただければ一目瞭然です。



彼女は受講生に対して相当強く指導をします。それが、コーチングや、「褒めて伸ばす」ということを重視する人からは、『間違っている方法』『ふるい方法』だと思われています。やさしく、楽しく教えてもらえるというわけではないのです。これだけ叱責をして終りでは、彼女自身も受講生から相当に嫌われてしまうでしょう。


平林の凄さ

彼女の凄さは、「方法論の独創性」や「新しい指導法」ではありません。そうではなくて、講習参加者に必要とする技術を、徹底して実行させることと、顧客から受講生が認められるしくみを作っているという部分なのです。
まず、彼女は参加者に教えた技術の実演を相当量練習させていきます。そしてフィードバックは、物凄く明確です。自分の接遇の何が悪かったのかが明確にされ、正しい技術で行うまで修正が加えられ続けます。とにかく体で覚えるところまでやるのです。これで、要求された場面で接遇を実行する確率は高くなります。
ただし、ココまでであれば、その場では接遇の練習を嫌々していたとしても、結局「講習では厳しく言われたからやったけど、日常ではつかわなかったよね」で終わっちゃいます。ところが彼女は、実際の接客業務の中に入っていって実際の顧客へのサービスの中で技術を実践させるのです。


ココがミソなのです。実際の業務の中で、受講生に正しい接遇技術を実践させる。そうすると、座学や練習では生じ得なかったひとつの変化が生じます。それは、正しい接遇をしたときに、お客さんから感謝の言葉や、笑顔が返ってくるという変化です。接客業に従事するものにとっては、多かれ少なかれ、「お客さんからの感謝の言葉」は嬉しいものです。自分が正しい接遇を実行して、感謝される・嬉しいと思う。参加者自身が「お客さんのために、自分の喜びのために次も正しい接遇をしよう」と思う、そうすれば技術を繰り返し実行して、受講生自身が自分のものにしていく。このサイクルを講習に組み込むことが、継続される変化を作っているのです。
彼女はほとんど厳しいことしか言いません。「できているよ」「その調子でいいよ」というポジティブな言葉をお客さんからかけてもらえるようにシステムを構築しているんです。世間一般で正しいとされている方法で指導することが彼女にとって重要じゃないんです。ましてや、自分が参加者から好かれようなんて微塵も思っていない。自分が嫌われようとも、目の前の人間の接遇を変えていく。実際に人に変化をおこさせる力、さらに、その変化を継続させる力、つまり接遇に関する受講者自身の変化において、結果を出すという点で彼女はズバ抜けているのです。人を変える能力値が圧倒的に高い人間、それが平林都なのです。
個人的には、その辺の秘訣を、本に書いてくれないかな?と思っております。

蛇足として

彼女は「アメとムチ」のムチしか使わないように見えます。何故なら、それが目立つから。しかし、平林ほどアメの使い方が上手い人はいないと思います。ムチがあるから、アメの効果がある。アメばかり与えていたら、アメをもらえることが嬉しくなくなってしまう。彼女のアメとムチを使う切り替えと、バランス感覚は素晴らしい。

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追記(2010/1/21):SMAP×SMAPにも出演してました。若干生ぬるくはありましたが、キムタク(木村拓哉)にも吼えてたのは流石。

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